日本政府の赤字国債についての誤解

  日本国債というものは、政府が予算を組むときに税収が足りないことで発行する債券のことである。簡単に言うと借金をして借用書を渡すことに似ている。

 

 政府発行債権とは、借用書のようなものである。政府はいずれ予算から毎年少しずつ返済する必要がある。それを国債の償還(しょうかん)と言ったりする。

 

 日本政府の予算は、100兆円程度である。所得税法人税、消費税などが国税であり、都道府県に収める住民税、地方税ではなく、国税庁管轄下の地方の税務署に支払うことになっている。

 

 その税収は50兆円である。税収が50兆円なのに100兆円の予算を組むのはどういうことかというと、国債の償還(借金返済)に25兆円、新たに国債を発行して25兆円程度ではないかと思う。

 

 100兆円=税収50兆円

       +新規発行40兆円(返済20兆円、実質新規発行20兆円)

       +特別会計へ組み入れ10兆円(年金の資金など)

というのが大まかな状況ではないかと考える。

 

 アメリカの国債発行残高は、日本よりも大きいが、GDPは日本の3倍である。日本の500兆円に対して1,500兆円程度のGDPがある。

 

 以下が、対GDP比の国債発行比率ランキングである。なぜGDPとの比率で比較するかというと、たいていの国はGDPの10%の税収しかないのが現実である。するとそのGDPの10%で予算を組むべきであり、日本の場合、GDP500兆円に対して1,000兆円の赤字があるので、GDPの10%の50兆円をすべて借金返済にしても、20年かかるということである。

ecodb.net

 

 このランキングを見るとわかるように日本は一番赤字が多いということになっている。税収に対して国債が多いランキング堂々の1位である。

 私が「日本はばか」という理由が明らかになったわけである。

 

 予算がゼロで政府というものが存在できるはずはなく、もし予算がゼロのとき、国家公務員や国会議員の年俸がすべてゼロになる。公立病院や公立学校、道路建設、国道、外交、防衛などがすべて無給になる。公共工事もゼロになり、医師への診療報酬支払いもゼロになる。これが、予算ゼロですべての税収で借金返済をするときの状態である。

 

 また、政府の予算は100兆円だが、実質80兆円になり、それがGDP500兆円の一部になっている。民間企業の生産が420兆円ということになる。正確ではないが、政府の予算というものは、GDPへの影響が無視できない程度に大きい。

 

 トヨタ自動車は売上20兆円だが、世界での生産や販売などがあり、日本のGDPには全部は入っていないはずである。それが、GDP, Gross Domestic Products 国内総生産というものである。トヨタの海外工場が生産した自動車は海外のGDPになるはずである。

 

 日本の国債に関して、その保有者は誰なのかというのは、900兆円は中央銀行の日銀と、民間銀行とういことである。あとの100兆円は海外の政府らしい。そのニュースの記事が以下になる。

 

www.nikkei.com

 

 この900兆円の400兆円程度を日銀が保有している。これは買い支えているという状況ではないかと考える。つまり、日銀というものは、通貨の発行と流通量を管理する機関であり、政府のために何かをする機関ではないという原則がある。

 

 政府が借金が多いときに、流通量を増やしてインフレーションにした場合、政府の借金は実質的に目減りすることになる。つまり、政府の借金がどんどん減っていくということになる。

 

 このとき、企業や一般市民で借金があるときは、得をするが資産があるときは損をする。貯金しておいた1,000万円の価値がどんどん目減りしていくことになるからである。民間企業や一般市民が、現金や金利の低い預金などで保有しているとどんどん目減りしていくことになるのである。

 

 緩やかなインフレ2から3%というのが理想とされている。これは、タンス預金を減らす目的があるからである。

 

 そのとき、現行の金利はその2から3%以上あるはずである。それでなければ預金する意味がないからである。

 

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 ↑間違い

 理由:銀行は中央銀行(日銀)から現金を借りることができて、それを企業や一般市民に貸すという業務であり、また、企業や一般市民からの預金を集めて、それを企業や一般市民に貸すという業務もある。そのときに銀行は日銀から現金を借りたほうがいいのか、一般市民の預金を集めて貸出したほうがいいのかということになる。

 

銀行業務の原理的な説明

 預金の金利が日銀の貸出金利と同じか、それより低い場合に預金を集める意味がある。日銀が1%で市中銀行(民間銀行)に貸し出すとき、普通預金や定期預金は、それより低い場合に有利になる。つまり0.75%程度であれば、日銀から借りるよりも預金を集めて貸し出すほうが少し儲かることになる。そして貸出金利(融資の金利)は0.75%とか1%以上であれば、民間銀行は儲かるはずである。

 日銀の貸出金利や預金の金利が1%程度のとき、融資の金利は1%以上になり、例えば3%の融資の金利だった場合、2%が銀行の粗利(ざっくりとした利益)になる。もちろんこの粗利益から人件費や水道光熱費や建物の減価償却費を差し引いて純利益がでることになる。

 このとき、貸出先(融資先)の企業、個人のローンが返済不能になったり、倒産したり、自己破産宣告したりすると、その現金は帰ってこないことになる。わずかな利幅で利益を出している銀行にとっては、それは致命的である。

 そのために、銀行は融資先(貸出先)の企業、個人の信用を厳しくチェックすることになる。そして、倒産や自己破産は日常茶飯事であり、あらかじめそのための準備金を積み上げることになる。それが「貸倒引当金(かしだおれひきあてきん)」というものである。ある程度の基準があり、要注意先というようなランク分けがされており、そのランクに応じて、貸倒引当金を積み上げなければならないことになっているはずである。

 そしてまた、民間銀行は担保というものを要求するが、これはかなりリスクを減らすか、あるいはリスクがまったくない、必ず貸した金は死亡保険金であっても取り返すというようなことをしている。そのような取り立ては、反社会的であり、人道上の問題が大いに疑われる。

 確かに、貸した金を数千万円という単位で返済されないというのは痛いが、そもそも人間が豊かに生きるために考えられた銀行制度が、人殺しを強制するという意味がわからない。

 つまり、銀行があまりにもリスクを減らそうとすると、このような反社会的な行動などになる。一般市民や企業は、逃げようとして借りたわけではないのであり、経済の調子がよくても、景気が良くても、倒産は必ずあるのであって、それに応じた貸倒引当金があるはずである。そしてまた、それに応じた金利設定なども自由にできるはずである。

  この融資や個人金融などは、アメリカでもサブプライムローン(プライムレート、最優遇貸出金利より悪い金利)での融資先の焦げ付きでリーマンショックという経済問題に発展したことがあり、シビアで新しい経済問題である。

 以下が、サブプライムローンに関するWikipediaのページである。

サブプライムローン - Wikipedia

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 つまり、タンス預金でも十分ということになる。現金は持っておいてあとで使おうということになるはずである。本来は、銀行に預金したり、投資したり社会に出回るべきお金がどんどんタンスに増えていった場合、日銀の通貨供給量のコントロールは効かなくなるかもしれない。

 

 2%のインフレーションが10年後には、20%以上になり、30年後には60%以上になるはずである。

 つまり、ハンバーガーが100円の場合、10年後には120円、30年後には160円になるという意味である。これが自動車200万円の場合、10年後には240万円、30年後には360万円になることになる。そして、生活はまったく同じということになるはずである。

 これがインフレーションというものである。

 緩やかなインフレーションという目標は、この現金を使わずにずっと保有してしまって景気が悪化するのを防ぐ目的があるらしい。

 

 金への投資については、ケインズが危機意識を持っていたということだが、確かにタンス預金のように市中(社会)にまったく出ずに、資産が閉じ込められてしまう。現金は金取引業者から流通するはずである。金は、インフレーションに強いが、配当や金利はまったくつかない。

 従って、長期的な投資、年金がわりというような資産は、株式投資投資信託、債券などが好ましい。市中(社会)に出回るためである。投資信託不動産投資信託が今は配当がいい。ただし、日本の場合は微妙なのである。

 アメリカのダウ工業株の中には数十年間配当を出し続けている企業もいくらか存在している。